Photoshopでデザインをしていると、以前学んだ「色彩」の知識が活かされてる実感がすごくあるんですよね。なので、これからグラフィックデザインを独学で学びたい初心者には、ぜひ「色彩」の事も知って欲しいなあと思って、この記事を書きました。
こんにちは、はづきです。
あなたは、何色が好きですか?
グラフィックデザインを学ぶ上で「色」の知識は必須です。
色彩が人にもたらす効果は絶大で、色自体が人の感情にまで影響を及ぼすのです。
例えば、”赤”は「情熱」とか「興奮」とか、人の行動力に強く影響する色ですよね。
闘牛も赤にとても興奮します。
また、”紫”が好きな人は「性欲が強い」等と言われたりしますし、”濃い青”は堅いイメージで「ビジネス」に関するデザインで多用されたり、中二病夢見がちな人は「黒 × 赤」の組み合わせに癒されたりします。
色って、おもしろいですよね。
グラフィックデザイナーに興味があるのなら、色に影響されるのではなく、色彩を利用して「コントロールする」側になる事を目標にしましょう。
この記事では、色彩検定の資格をあらゆる仕事に活かしてきた私が『グラフィックデザインに役立つ色彩の基礎や勉強法について』を解説していきます。
私が色彩検定を取ったのは大学生の頃なので、もう10年以上経つんですが、これまでの生活の中で色の知識を活用できる場面はとても多かったように思います。
- アパレル店員【コーディネート提案ができる】
- 印刷会社【5色のインクから様々な特色を作れる】
- デザイン【色の選び方がわかる】
- 音楽【メイクに使う化粧品の色を肌に合わせて選べる】
- プライベート【毎日の服選びに困らない】 等など…
世の中のあらゆる物には「色」があるので、グラフィックデザインに限らず、色彩の知識が役に立つ場面は人によって本当に多種多様です。
この記事ではそんな色彩の基礎から、グラフィックデザインや印刷の際に使える色の知識、そして色のスペシャリストになりたい人にオススメの勉強法等もご紹介していきます。
これを機に、色のおもしろさを知っていただければ幸いです。
それでは、以下から『グラフィックデザインに役立つ色彩の基礎や勉強法について』を詳しく見ていきましょう。
色彩の基礎
色の事を学ぶにあたって、最低限知っておくと便利な「色の基本」をお伝えしておきましょう。
- 色の三属性
- 光の三原色
- 色の三原色
これらの言葉は、学校の授業でも出てくるぐらいに基本的な事ですが、これがグラフィックデザインにおいてはかなり重要です。
「懐かしいなぁ」と思い出しながら読んでいって下さい。
ちなみに、色に関する知識や難しい専門用語等を知りたい場合は「Wikipedia」にかなり詳しい記述がありますので、そちらをご覧下さい。
この記事では、グラフィックデザイン初心者に向けた実用的な「色」の知識を紹介していきます。
色の三属性
白、グレー、黒のような「無彩色」「モノクロ」と言われる色味のないもの以外は
- 色相
- 明度
- 彩度
上記の3つの要素によって出来ています。
詳しく見ていきましょう。
色相
色相とは「色味」の事です。
「赤」とか「青」とか、その色の基本となるものです。
デザインで使う色を決める時は、まずこの「色相」を見てどの色を使うかを考えます。
また、色相の話でよく出てくる虹色のリングの事を「色相環(しきそうかん)」と呼びます。
色相環の真ん中に正三角形を書いた時の頂点3色を組み合わせると、バランス良く配色に使う事ができるので覚えておきましょう。
この3色は、グラフィックデザインにおいて「メインカラー」や「サブカラー」「ポイントカラー」を考える時にとても参考になりますよ。
明度
明度とは「色の明るさ・暗さ」の事です。
一番明るい色は白で、一番暗いのは黒です。
白に近ければ近いほど「明度が高い」逆に黒に近いほど「明度が低い」という言い方をします。
Photoshop等で色を作る際には、どんな色でも「明度を一番高く設定すると白になり、明度を一番低く設定すると黒になる」という特徴を覚えておきましょう。
また、無彩色(白・黒・グレー)は色相も彩度も無く、明度だけで出来ています。
彩度
彩度とは「色の鮮やかさ」の事です。
彩度が低くなるに連れて色褪せていき、色味が失われていきます。
どんな色でも、彩度を一番低く設定すると「無彩色(グレー)」になるのが特徴です。
この時、同じ無彩色でも明暗がありますが、元の色の明度によってグレーの濃淡が決まります。
ちなみに、彩度が高めの色だけで配色すると、目がチカチカして刺激が強くなるのでオススメしません。
高彩度の色は「ポイントカラー」として使うのが効果的です。
色の三属性を知っていれば、グラフィックデザインにおいて自由に色を作る事ができます。「この色は少し彩度を落とせば作れるのか」「こういう色はこの色相で作れるんだ」等の発見があるので、ぜひPhotoshop等のパレットで遊んでみて下さい。
光の三原色
テレビやパソコン、携帯電話等の液晶画面や照明で使われる光媒体の色は、この「光の三原色」によって表現されています。
聞いた事ありませんか?「RGB」という言葉を。
- R:Red(赤)
- G:Green(緑)
- B:Blue(青)
液晶や照明等の光媒体は、大抵この3色だけで全ての色を再現しています。
光を重ねて足していく事で様々な色を作るので「加法混色」という言い方もされますね。
光の三原色の3色は、全て均等に合わせれば白になります。
逆に、3色とも照らさなければ地の色(黒)のままです。
ちなみに、昔のテレビは本体にRGBそれぞれのつまみがあって、好みの色味に変える事ができたんですよ。
遥か昔のお話です。
2色混色が『色の三原色』と同一
これはどういう事かと言うと、例えばRedとGreenを合わせると、後述する「色の三原色」である「イエロー」になります。
また、同じようにRedとBlueを合わせると「マゼンタ」に、GreenとBlueで「シアン」になります。
絵の具で考えると、こういった混色結果はあり得ないんですが、光の三原色だからこそ、色を重ねる毎に明度が上がって「白」に近付いていきます。
日常生活の中では、光の三原色を意識する事は少ないと思いますが、普段から触っているスマホの画面はこの「光の三原色」が活用されています。
色の三原色
光の三原色が「液晶など光媒体」での表現方法であるのに対して、色の三原色は「インクや絵の具」など印刷に関わる色の表現法で、構成される色は「CMYK」です。
- C:Cyan(シアン)
- M:Magenta(マゼンタ)
- Y:Yellow(イエロー)
- K:KEY PLATE(※クロ)
「あれ、三原色なのに4つある?」って疑問に思いました?
そうなんです、基本的にはCMYの3色で色を表現するんですけどね。
色の三原色であるCMYの3色は、良い具合に合わせれば黒も作れます。
しかしながら、実際の印刷となると、3色掛け合わせの黒だけでは「輪郭」が不鮮明になってしまったり、CMY3色混合の黒には若干偏りがでてしまって“純粋な黒色にならない”可能性があるので、4色目の「K」も必要になるんですね。
印刷において、Kは主に輪郭を鮮明に出したり「色」として純粋な黒色が欲しい時に使用しますが、CMYKのKは「KEY PLATE」のKであり、決して「クロ」のKではありません。
ただ、印刷物の写真や画像の輪郭にはブラックが使われる事が多いので「K=クロ」と覚えていてもまあほぼ間違いではないでしょう。
ちなみに、白は「何も配色しない」事で”原紙の白”を利用します。
ですが、印刷業界の中でも私が経験した「グラビア印刷」という種類の印刷においては、原紙が白いとも限らないので、こういった現場での白色の表現は、白のインクを使う事も多いです。
CMYは混色する毎に黒に近付く
色の三原色は、元の色の上から塗り重ねて光を遮る事で新色を作り出すので「減法混色」とも呼ばれています。
そして、全て混ぜれば、完全に光を遮って「黒」になります。
CMYのインクを混ぜる場合、2色までの混色なら色相が移動するだけなんですが、3色目を混ぜた途端、明度と彩度が下がります。
つまり「黒色に近付いていく」という事ですね。
例えば「人間の血」の色は暗めの赤ですが、CMYで表現する場合はMとYで明るい赤を作り、そこにほんの少しCを足します。
こうする事で明るい赤が濁り、リアルな血の色のようになるわけです。
この特徴がわかっていれば、Photoshopで色を選ぶ際に「Cは*%で、Mは*%で…」という風に数値入力して、希望の色を自由に作る事ができますよ。
また、現実世界ではこの「減法混色」を利用した製品に「ムラサキシャンプー」というものがあります。
ヘアカラーをよく利用する人なら、きっとご存知でしょう。
ダブルカラー(ブリーチしてからカラーを入れる)をした髪は、施術直後はとても綺麗な髪色をしていますが、時間と共に黄ばんでくるんですよね。
この黄色(Y)にムラサキシャンプーの紫色(C+M)をほんの少し足す事で明度と彩度を下げて「黄色みを抑える」という効果がある、色彩の知識がフルに活用された製品です。
このように、何気ないところで「色の効果」が使われているのです。
日々の生活の中で触れる物の色は「色の三原色」によって作られています。書籍や雑誌、ポスターや広告等の印刷物も全て、元データを見ればCMYKです。この事から、グラフィックデザイナーにとって特に重要なのはこの「色の三原色」の考え方であると言えますね。
デザインに使える色の知識
さて、ここまでは「色の基本知識」をお伝えしてきましたが、これだけではグラフィックデザインにどのように活かせるのかはわかりにくいですよね。
ここからは、色の知識が実際にどのようにグラフィックデザインに役立つのかを、具体的な事例を挙げながらご紹介していきます。
主にPhotoshopを使ったデザインの基本となる部分ですので、しっかり押さえておきましょう。
テーマカラーの選び方
一つのデザインを始める際には、最初にそのデザインの「テーマカラー」を考える事が多いです。
これには「色の三属性」の「色相」のところで触れた「色相環」を使うと、わかりやすいですよ。
色相環の真ん中に正三角形を置き、その頂点にある3色をテーマカラーにするとバランス良く配色できます。
また、正方形を置いて頂点4色を使うパターンや、任意の1色とその正反対にある1色(補色)の計2色だけを使うパターンや、任意の1色+同じ色の明度や彩度を下げて3色決めるというパターン等もあります。
色の決め方は様々ですが、実際に色の組み合わせを目で見てみて、あなたの好みや感性で決めると良いでしょう。
ちなみに、この色選びの作業を手伝ってくれる無料のWEBサービスもあるのでご紹介しておきます。
- 最初に任意の1色を決める(Material Design Colors)
- 決めた1色から使えるパターンを確認(ColorHexa)
- グラデーションの組み合わせから色を決める(uigradients)
カラーモードについて
Photoshop等のデザインソフトでは、新規ファイルを作成する際に「画像サイズ」等の設定画面が開きます。
この設定の中で「カラーモード」を選択する項目があります。
「光の三原色(RGB)」「色の三原色(CMYK)」どちらのモードで作業するか?を選択するのですが、印刷に使うのは減法混色である「CMYK」の方です。
逆にWEB上で使用するデータを作成するのなら、表示させる媒体は「液晶」なので「RGB」です。
しかしながら、ここではひとまず難しい事は考えずに、問答無用で「RGB」を選択しておきましょう。
これには、以下の理由があります。
CMYKモードでは作業に制限がある
RGBモードでは操作に制限がないのに対して、CMYKモードではいくつかの操作ができなくなってしまいます。
最初からCMYKモードを選択していると、作業中にできない操作があって若干不便ですし、デザインの幅が狭まってしまうので、新規作成時は「RGBモード」で始めるのが無難です。
CMYKモードには、後で変換可能です。
RGBモードならWEB用画像としても使える
WEBサイトやSNS等のネット上で使用する画像は、光の三原色を利用した「液晶」で表示される事になります。
液晶で表示させる画像は「RGB」形式なので、最初からRGBモードでデザインしていれば、データを変換せずにそのまま使えますよね。
商品パッケージや広告のような「印刷を見据えたデザイン」であっても、WEBマーケティング的視点で考えれば「印刷物」とは別に「WEB用の画像」も用意しておくのが一般的なので、RGBモードでデータを保管しておく事はメリットになります。
ちなみに、詳しくは後述しますが「CMYK→RGB」の変換は基本しません。
家庭用プリンターはRGBモードで
最終的には印刷会社にデータを投げるデザインでも、確認の為に一旦は手元にあるプリンターで印刷する事になるでしょう。
じゃないと「本当にデザインできてる?抜かりない?」と心配になってしまいますよね。
この確認の時、家庭用のプリンターを使用する場合は、CMYKモードで印刷してしまうと色味が変わったり、異常に濃くなったりと、仕上がりがおかしくなってしまいます。
家庭用プリンターは、基本的に「RGBモード」の印刷に最適化されています。
なので、家庭用プリンターで印刷確認する際には、デザインデータを「RGBモード」にしておかないといけません。
- 仕上がり確認の為に「RGBモード」が必要になる
- 「CMYKモード」では作業内容が制限される
- RGBで作業していれば「WEB用画像」としてそのまま使用できる
- RGB→CMYKの変換ができる(逆もできるがしない)
これらの理由から、新規作成時はカラーモードを「RGB」で始める事をオススメします。
RGB形式で印刷に出さない
デザインデータの新規作成時には、カラーモードを「RGB」で開始する事を私は推奨しています。
ですが、印刷会社に入稿する際には、必ず「CMYK」に変換しておく事を忘れないようにしましょう。
どうしてかと言うと、以下の理由があります。
- 印刷会社は、データチェックの際に「CMYK」であるかどうかを確認する
- 「RGB」だと、作業が止まって納期がズレる
- RGB形式のデータをCMYKモードに変換する際に、若干色味が変わる
- CMYKでは表現できない色がある
- 印刷会社は基本的にデータ内容を変更しない(RGB→CMYKに変換してくれない)
こんな色々書かなくても、どこの印刷会社でも「CMYKで入稿して下さい」という指定があると思いますけどね。
指定があれば、当然指定通りにデータを加工して入稿しないといけません。
RGBカラーにはCMYKで表現できない色が含まれる
上で「CMYKモードでの作業には制限がある」と書きました。
そもそも、CMYKモードでの作業に制限があるのは「CMYKで表現できない色があるから」というのが要因の一つとしてあります。
例えば「原色」や「蛍光色」のような彩度がものすごく高い色は、光の三原色では表現できてもCMYのインクを混ぜて作る事はできません。
こういった、実際の印刷現場で起きるような物理的な問題は、Photoshopにも反映されていて、CMYKモードでは高彩度の色が使えないようになっています。
賢いですよね。
この事から、RGB形式のデータには「CMYKで表現できない色」が含まれている可能性があるので、印刷会社側は顧客への確認の為に作業が止まって納期が遅れてしまうし、ほぼ確実にデータと仕上がりに相違が出てしまうので、そのまま印刷する事もできないのです。
RGB→CMYKの変換時に色味が変わる
RGBモードで作ったデータの中に高彩度の「CMYKで表現できない色」が含まれている場合は、PhotoshopでCMYKモードに変換する際、自動的に「似た色」に変換されます。
この時、彩度が高ければ高いほど色味の変化が大きくなるので、印刷を見据えたデザインの作業時には注意が必要です。
このように、色味が変わるとなれば「データ内容を変更する」事になってしまうので、印刷会社側で勝手にCMYKモードに変換して作業を進めてくれる事はほぼありません。
なので、入稿前には確実に「CMYKになっているかどうか」をチェックする工程を挟んでおきましょう。
また、カラーモード変換の際に変化をできるだけ小さくする為にも、作業時には「彩度が高い色は使わないようにしよう」と思いながらRGBモードで作業するのが一番安全なやり方なので、意識してみて下さいね。
CMYKで表現できない色について
上でちらっと触れましたが「原色」や「蛍光色」のようなめちゃめちゃ明度と彩度が高い色は、CMYKの掛け合わせでは作れない色です。
なので、Photoshop等のデザインソフトではRGBモードでこれらの色を使えても、CMYKに変換すると自動的に似た色に変換されてしまいます。
また、その他にも「特殊な質感」の色だと、そもそもPC画面上で表現できません。
例えば、光沢があって光を反射する金や銀・銅等の「金属色」や、油膜やCDの記録面等の「構造色」と呼ばれる色は、それらを画面上で表現するテクニックはあっても、色のデータとして一発で表現する事は不可能です。
「え?でも、そんな変わった質感の印刷物を街中で見かけた事あるよ?」と思いました?
そうなんです、実は印刷方法によってはCMYKの色以外にも「特色」と呼ばれるインクを使えたり、印刷する「原紙」を工夫したりできるんですよ。
特殊な色や質感を表現できる印刷手法
一般的な印刷手法「オフセット印刷」に対して、幅広いデザインや印刷に対応できる”質の高い”印刷手法として「グラビア印刷」というものがあります。
この方法なら、CMYK以外の「特色」のインクを使用する事ができますし、印刷する原紙に「コピー用紙」だけでなく「透明のフィルム」や「和紙」「衣類」など、様々な物を使えます。
しかしながら、グラビア印刷をするためには「製版(金属製の大きなハンコを製作する事)」をしないといけない上に、印刷には大がかりな設備が必要になるので、企業の大量生産以外の目的で使うのは現実的ではありませんけどね。
特殊な印刷にはコストがかかる
仮に印刷で「原色」「蛍光色」や「光沢のある金色」「輝く銀色」「オパールのような虹色」等を使いたい場合は「特色」として、個人でも注文を受け付けてくれる印刷会社ももちろんあります。
ただし、それなりにコストはかかるのでご注意下さい。
よくある使い方としては、名刺に高級感を出す為にワンポイントとして「光沢のある金色」を使ったりしますね。
また、できるだけ目立つデザインにしたいホストの名刺だと「全体的に金ピカ」だったり、そもそも紙じゃなく「別素材」に印刷したりもします。
もちろん、その分コストは跳ね上がりますよ。
参考までに、ホストの名刺はデザイン料込み200枚の特殊印刷で¥50,000とか全然普通です。
デザインや使用するインク、原紙にこだわらなければ、名刺なんてデザイン料込みで200枚¥2,000程度で作れる時代ですよ?
自分でデザインしてしまえば、コストはほぼ印刷代だけなので1000枚印刷しても¥2,000いかない事もあります。
それでも、高級感や個性を出す為に特殊印刷の需要はずっとあるんですよね。
RGBモードで使用するWEB用画像について
ここまで「印刷する」事を見据えたデザインについての事をお伝えしてきましたが、WEB上で使用するのが目的のデザインなら、最初から最後まで「RGBモード」のままでデータを作れます。
- WEB用画像を表示する媒体は「光の三原色(RGB)」
- 何をデザインするにしてもカラーモードは「RGB」で開始する事を推奨
- WEB用画像としてデザインしたデータを印刷に使う事はほぼない=CMYKの事を考えなくてOK
デザインをRGBモードで開始する理由はすでに上述しましたね。
仮に印刷するにしても、後ほどRGBをCMYKモードに変換する事が可能なので、RGBモードで開始して問題ありません。
「最初からCMYKで作って、後からRGBに変換するのはダメなの?」という声もあるかもしれないので、これについても解説しておきますね。
CMYK→RGBの変換をしない理由
操作としては「CMYK→RGB」の変換をする事はもちろん可能です。
ですが、基本的にこういう事はしません。
なぜなら、RGBで開始して「RGB→CMYK」変換をするのと比べると失うものが多いからです。
- 最初からCMYKでスタートすると高彩度の色を使えない
- 高彩度の色が使えないままデザインを進めると色が”地味”に見える
- 地味な色のままRGBに変換される
- RGBでデザインしていれば高彩度の色も使えたのに…
こういう事になりますね。
「常に最高のパフォーマンスで」と考えれば、画面上なら高彩度の色を表示できるんだから、使えない色が多いCMYKよりは最初からRGBでデザインしておくべきでしょ?という事です。
やはり「RGBモード」というだけあって、液晶画面で綺麗に表示される色が使えるので、それを使わないのはもったいないと言うか、デザイナー職としては「職務怠慢」と言えなくもないんですよね。
あくまで私の一意見ですが、同じ事を思っているデザイナーは多いはずです。
もちろん、CMYK→RGBの変換をした後で”手直し”して高彩度の色を取り入れる事は可能ですが、一度捨てた物を取り戻すには相応の手間がかかるものですよ。
できるだけファイルサイズを軽くする事を意識する
WEB上で使用する画像をデザインするのなら、CMYKがどうとかRGBがどうとか、カラーモードの事を気にするよりも大事な事があります。
それは「ファイルサイズ」です。
重すぎると、表示に時間がかかってしまうんですよね。
個人で管理するWEBサイトだと、ページの「表示速度」は検索の表示順位や離脱率に影響し、直接売上に関わってきます。
なので、ファイルサイズは特に気にしておきましょう。
画像ファイルのサイズには「色」も影響してくるんですよ。
「使用する色数をできるだけ減らす」事を意識すれば、結構小さめに抑えられます。
- 滑らかなグラデーションを使わない
- 写真はコントラストを落として彩度を落とす
- 「シャープ」より「ぼかし」を多用する
上記3つを念頭に置いてデザインすれば、使用する色数を減らせますよ。
デザインにおける色の選び方やカラーモードの事は、グラフィックデザイナーにとって必須の知識なので覚えておきましょう。また、ここに書いてあるのはほんの一例であり、デザインと色についての奥深さはこんなものではありませんよ。
色のスペシャリストを目指すなら検定受験がオススメ
ここまでは「色の基本」や「デザインで使える実践的な事」をお伝えしてきましたが、これらを理解しているといないとではデザインの楽しさが100倍変わるので、ぜひ知っておいて下さいね。
そして、色についてもっと深く知りたい場合は、色に関する検定の合格を目指してみましょう。
検定の受験に備える勉強をすれば、自ずと色彩に関する知識を学ぶ事ができますよ。
しかも、仮に合格できたとしたら、またそれはそれで大きなメリットがあります。
「検定1級」を持っていれば、色彩の知識を認められて色に関わる仕事では有利に転職を進める事ができる他、それぞれの検定の対策セミナー等で講師を務める事も可能ですよ。
私は色彩検定を持っていますが、これまでの仕事や生活の中で活かせる機会がとても多かったので、学んでおいて良かったと思ってます。
- 色彩検定(文部科学省後援)
- カラーコーディネーター検定(東京商工会議所主催)
色の知識は戦略的に使える
この記事では「色彩の基礎」から、それを「グラフィックデザインにどう活かすのか」等をお伝えしてきましたが、まとめると以下の通りです。
- 基礎の中でも「色の三原色」を知っておくと便利
- テーマカラー選びに便利なWEBサービスがある
- 「RGB」と「CMYK」のカラーモードの知識はデザイナーにとって必須
- デザインの目的によってカラーモードを使い分ける
- 色彩について深く学ぶ方法は「検定合格」を目指す事
上記の事を押さえていただければ、きっと今後のあなたのグラフィックデザイン学習も、より良いものになるはずですよ。
色彩の知識を戦略的に活用し、影響を与える側になっていきましょう。
色彩の事を知れば、日常生活も色鮮やかなものになりますよ。
「これまで意識しなかった”当たり前の事”を意識するようになる」という意味では、確かに「モノクロ→フルカラー」ぐらいの変化はありますね。