【水道水】水質基準項目『一般細菌』5分でまるわかり

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水質基準項目「一般細菌」の記事

水道水の水質基準項目、確認されましたか?
51項目もありますが、さっそく1つめから気になったあなた。
この記事は、そんな心配性なあなたのための記事です。

水質基準項目に設定されている項目の1つめは「一般細菌」ですね。
基準値は「1mlの検水で形成される集落数が100以下」とされています。

この基準値から、水道水には「必ず100以下の一般細菌がいるのでは?」という疑問が浮かんできますね。
結論から申し上げると、必ずとまではいかなくとも、ひそんでる可能性は十分にあります。
つまり、1mlの水道水をそのまま飲めば、100以下の集落数の一般細菌を同時に体内へ取り込む可能性があるということ。

まあでも、一般細菌自体はほぼ無害なので、ご安心ください。

この記事では、水道水にひそむ「一般細菌」について、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
「一般細菌とは何ぞや?」というところから、基準値の意味や、検査方法などについてもまとめましたので、どうぞご覧ください。

水質基準項目の「一般細菌」とは?

チェックリストのページ

一般細菌というのは、そういう名称の1つの細菌ではなく、何種類もいる微生物をひっくるめた総称です。
山田さん、佐藤さん、小林さんなどをひっくるめて「人間」と呼ぶようなものです。

で、この一般細菌は、冒頭でもお伝えした通り、“ほとんどが無害”です。
例えば、あなたや私の手指にも、常に1000以上もの数の一般細菌がくっついています。
ポテチを食べた後、指についた塩をなめれば、一般細菌も当然口に入ってきますが、それでも身体に異常はありませんよね。
(「太った」は一般細菌のせいではありません)

参考までに、大人と子供の手指や、その他家庭にあるモノにくっついている細菌の数を示した資料を以下に載せておきます。

「家庭内における除菌のための手洗い効果と環境表面からの細菌の検出」J-STAGE
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsei1986/22/3/22_3_175/_pdf

石鹸で洗った直後の手指にも、一般細菌はまだ200程度いるようです。
でも、私たちは「石鹸で洗った手はめちゃめちゃキレイ」と感じてますよね?
そうなんです、一般細菌は清潔な場所にもいて、必ずしも汚いものではありません。
100%取り除くことは不可能ですし、嫌悪しても仕方がないので、あまり神経質になる必要はなさそうです。

一般細菌の「基準値」の意味は?

虫眼鏡と本で調べ物

一般細菌の基準値は「1mlの検水で形成される集落数が100以下」でしたね。
先ほど、石鹸で洗った直後の手には「200程度いる」とお伝えしました。
つまり、石鹸で洗った手よりもさらに少ない値が、水道水質の基準値に設定されているんです。
かなりシビアな数値を求められていることがわかりますね。

それにしても「集落数が100以下」って、どういう状態なんでしょう?

細菌の数が100個以下?
集落って何?
細菌なんて、見える?
100の単位は?
そんな疑問に、以下からお答えします。

細菌は、そこに1つだけいたとしても肉眼では見えませんよね。
実は、顕微鏡を使ったとしても、細菌1個体は小さすぎて見えないんです。
なので、細菌を”1個体ずつ”数えるのではなく、“集合体”を数えるようにしているようです。

この集合体が集落(コロニー)です。
キャンプ場で例えれば、”利用者”ではなく”テント”の数を数える感じですね。
ただ、テントの中に何人いるかはわからないので、断定はできません。
そこで”だいたいこれぐらい”っていうのを表現する意味もあり、このコロニーの数は「個」ではなく「CFU」という単位で数えられます。

「コロニー形成単位」Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/コロニー形成単位

つまり、一般細菌の基準値「1mlの検水で形成される集落数が100以下」の意味は、“1mlの水を検査して、その中に一般細菌が100CFU以下しかいなければ、水道水として提供してOK”ということ。

ちなみに、”石鹸で洗った直後の手にいる200の一般細菌”は、先ほどの参考資料では「200cfu/hand」と表現されています。
「片手の全体を検査したら、200個のコロニーがあった」ということですね。

基準値の意味、なんとなくおわかりいただけたでしょうか?
ただ、厳密に言うと”100cfu以下”というのは「検査した時点で」ということではないんです。

どういうことか?
これは「一般細菌の検査方法」について知っていただく必要があります。
以下をご覧ください。

「一般細菌」はどうやって測る?

実験研究検証ラボ

実は、水質基準の「検査方法」も国で定められています。

「水質基準に係る検査方法」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000922364.pdf

カンタンにまとめると、一般細菌の検査方法は以下です。

  • 「準備」一般細菌の数を検査する水やその他器具、薬品などを用意する
  • 「培養」菌の栄養になるものと寒天をまぜたものに、検査する水を加えて固める
  • 「集計」22〜26時間かけて菌を増やした後、集落数を数える

そうなんです。
採取した水をその場ですぐに調べるんじゃなく、約1日置いてから細菌の数を数えるんです。
しかも、数える前に”細菌が増殖しやすい環境”にした上で、わざわざ細菌を増やしておくんですよ。
「約1日培養した後の、一般細菌の集落数が100cfu以下」ということです。
これが、上記の”検査した時点ではない”の意味です。

確かに、一般細菌が増えやすい環境をつくり、増殖するための時間を与えるまでやったのに、100cfuまで菌が増えない水となると…
よっぽど細菌が生息しにくい=「しっかり消毒された水」と言えるのかもしれませんね。
日本の水質基準、めちゃめちゃ厳しいです…!

ちなみに、この検査方法は「標準寒天培地法」という、水質基準の検査以外でもよく利用されるものだそうですよ。

「塩素」は何のためにいれるのか?

固形の塩・結晶

一般細菌の水質基準、かなり厳しかったですね。
でも、今あなたの自宅に供給されてる、蛇口をひねると出てくる水は、この基準を完璧にクリアした「しっかり消毒された水」なんですよ。
すごいですね。

では、一般細菌の数はどうやって調節されているのか?
つまり「水道水がどうやって消毒されているのか?」ですが…

ここで「塩素」が使われるわけです。
実は、一般細菌は塩素に弱いんですよ。
塩素を入れれば入れるほど、一般細菌の数は減っていきます。
投入する塩素の量だけ、水は消毒されます。

参考までに、大阪市水道局がおこなった”一般細菌と塩素に関する調査”の資料を置いておきますね。

「水道水における一般細菌の再増殖に関する調査」大阪市水道局
https://www.city.osaka.lg.jp/suido/cmsfiles/contents/0000559/559690/1-1.pdf

この塩素のせいで、水道水は「塩素臭」がするんですが…
でも、このおかげで水道水の安全性が保たれているので、”必要悪”という感じですね。

ちなみに、塩素自体は人体に有害なので、これにも「1mg/L以下」という基準値(目標値)があります。
1Lの水を検査して、残ってる塩素が1mg以下になるように調整しないといけません。
また、塩素に関しては全く残ってないのもダメなので「0.1mg/L以上保持しないといけない」という決まりもあります。

つまり、日本全国どこの水道水でも、蛇口をひねって出てくる水には「0.1mg〜1mg/L」の塩素が残留していて、程度の差はあれど、それなりの塩素臭がするということです。
大阪市の水道の場合は、2022年3月の結果ではだいたい「0.4〜0.6mg/L」の範囲に収まってました。

「令和4年3月の水質検査結果」大阪市水道局
https://www.city.osaka.lg.jp/suido/cmsfiles/contents/0000014/14772/R403titenbetukekka.pdf

この世に塩素がある限り、一般細菌の基準値を上回る水道水が、家庭の蛇口から出てくることはないでしょう。
ですが、もし何かの拍子にこの基準値を超えてしまったら…?
一般細菌がたくさん生息する水を飲んでしまったら?

続いて以下をご覧ください。

「一般細菌」が基準値を超えると…?

天秤、審判、はかり

水質基準は、”水道法”によって定められていることなので、絶対です。
「元々基準をクリアしていたものが何かの拍子に崩れて、ストップする前に流れ出てしまった」などのような事故でもない限り、この基準に満たない水が水道水として提供・供給されることは100%ありません。

「水質基準に関する省令」e-gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415M60000100101

つまり「一般細菌」の基準値を超える水に、あなたが出会い、触れる機会は皆無です。
心配する必要はないでしょう。

でも、万が一「基準値以上の水」を飲んでしまった場合は…?
それでも”一般細菌が原因で何かが起こる”ということは、よっぽど汚れた水でも飲まない限り大丈夫です。

上でもお伝えした通り、一般細菌は人間の手指にも常に1000以上存在するもの。
目には見えませんが、人間と運命を共にする仲間なので、これが害になることは考えられません。

ただし「一般細菌が基準値以上になる環境」というのは、他の”悪い菌”が繁殖できる環境でもあります。
水質基準項目2つめの「大腸菌」は、悪い菌の代表と言えるでしょう。
大腸菌も、人間の腸内にいる菌なので、害のないものがほとんどです。
でも、中には「O(オー)157」などの有害な大腸菌もいて、下痢や腹痛、血便、最悪”死”もあり得ます。

もし誤って「水質が異常な水」を飲んでしまい、症状が出てしまった場合は、すみやかに医師に診てもらいましょう。

「一般細菌」はあまり気にしなくてOK?

水道水とグラス

ここまで「水道水質基準にかかわる一般細菌」についてお伝えしてきました。
いかがでしたか?
記事の内容をまとめると、以下のようになります。

この記事の要約は…
  • 一般細菌は基本的に無害
  • 一般細菌の基準値を超えた水が、水道水として出てくることはほぼナシ
  • 一般細菌が多い環境には悪い菌も生息しているので、飲んでしまったら病院へ

水道水のことを考える際は、一般細菌のことはあまり気にしなくて良さそうですね。
水質基準項目は全部で51個もありますので、基本無害な一般細菌よりも、他の項目を心配した方がいいのかもしれません。

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