水道水『色度』『濁度』とは?それぞれ解説【水質基準項目】

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水質基準項目の色度と濁度の記事

水道水の水質基準項目、ご覧になりましたか?
全部で51項目あるうちの、50個めに「色度」
そして、51個めには「濁度」というものがあります。

「水質基準項目と基準値(51項目)」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html#01

文字通り、色度は「どれだけ水に色味がついてるか?」で、濁度は「どれだけ水が濁ってるか?」です。
例えば、ペットボトルの「緑茶」は、透き通ってるけど色がついてますよね。
これが、濁度は低いけど色度が高い状態。
また「カフェオレ」はミルク成分によって透明度がなくなり、透明のグラスに入れて見てみると向こう側が見えません。
これが、濁度が高い状態です。

人同士では「第一印象」が大事なように、水道水でもその「見た目(外観)」は重要です。
蛇口をひねって出てきた水の見た目が明らかにおかしいと、気持ち悪いですし、使う気が失せますよね。

しかも、人の第一印象は、後で「間違ってた」と気付くことが多いですが…
水道水の見た目のおかしさは、その中身の”異常さ”と比例します。
つまり、色度も濁度も高い水道水は、飲用にも使用にも悪影響をもたらすということ。

そんな「色度」と「濁度」。
水質基準値は、色度が「5度以下」
そして、濁度が「2度以下」となっています。
さらに、濁度は「水質管理目標設定項目」の方で、より高い目標値「1度以下」が設定されています。

あらかじめ決められている”基準溶液”があり、その色や濁り具合に対して、どの程度の変化があるか?を数値化したものですね。
この数値は、色度でも濁度でも、低いほどイイです。

では、実際の水道水ではどのような状況になっているんでしょう?
これらの基準値を超える水が出てきたりしないのか?

この記事では、水道水の「色度&濁度」の原因や、飲用・使用のリスク、現状などについて解説していきます。
どうぞ最後まで、ごゆっくりご覧ください。

水道水の色がおかしい?「色度」の解説

透明色度お茶グラス

水道水の色が変わるのは「水に溶けやすい物質(溶解性物質)」や「水に溶けず微粒子になって分散する物質(コロイド性物質)」が水中に含まれるのが原因です。

「コロイド」Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/コロイド

主に、植物が分解されてできる「フミン質」や、工場排水や下水等に含まれるコロイド性の「鉄」「マンガン化合物」などが、上記の物質に当てはまります。

これらが水に含まれていると「類黄色」〜「黄褐色」…
つまり、緑茶のような薄い黄色から、ウーロン茶のような濃い茶色の間のどこかの色になります。

ちなみに、水道水がキレイになる前の原水は、常に濃い茶色をしているわけではありません。
大雨などの自然現象によって土壌が荒れるせいでフミン質が多く含まれたり、浄水処理不足で鉄やマンガンが除去しきれなかった、等の理由で色度が上昇し、濃い色になるようです。

気になるのは、この「水道水の変色」によってどのような弊害があるのか?というところ。
実は、水道水の色の変化に関わる物質のうち、フミン質などの”有機物”が特に悪さをします。
主に以下のようなことが起こります。

  • 着色性のある有機物が多く含まれるほど、それ自体の「土臭」や不快な味がする
  • 水中の有機着色物質は、多くの水棲微生物の成育を刺激して「不快なニオイ」を発生させる
  • フミン質などの有機物の含有量が多いほど、浄水過程で「トリハロメタン」が多く生成される

つまり、水の色が濃ければ濃いほど、不快な味やニオイが強くなるということです。
さらに、そんな水を塩素消毒すれば、病原性の細菌は除去できても、代わりに有害な物質「トリハロメタン」を多く生成してしまいます。

塩素消毒の工程は、大抵は浄水処理の最後の仕上げとしてあります
なので、塩素消毒の工程にたどり着く前に、変色の原因物質であるフミン質などを取り除ければ問題ない、ということですね。

水道水がにごるともっとヤバい?「濁度」の解説

濁度にごる濁ったコーヒーミルク茶色

水道水が濁るのは「土壌やその他浮遊物質の混入」や「水中に溶けてる物質の化学的変化」等が原因です。

「懸濁液」Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/懸濁液

水の濁りの原因となる物質(粒子)の大きさは、1nm〜1mmと幅広いです。
これらの原因物質は、大きく分けると以下の3つ。

  • 2μg(0.002mm)以上の粘土質粒子
  • 動植物の死骸や組織が分解してできた有機質の破片
  • アスベストのような鉱物性繊維状物質(0.02〜0.35μm程度)

端的に言うと「土」か「有機物」か「石」です。
これらが、水道水の濁りの原因です。
確かに、入ってたら濁りそうですね。

この濁り具合は、“降る雨の量”などで増減し、常に濁度が高いわけではないようです。

濁った水道水は、なんとなくその見た目から「飲んだらダメそう」と感じますよね。
具体的には、どのような弊害があるんでしょうか?
主に、以下のようなことが起こります。

  • 濁り成分が「(細菌にとっての)栄養分」や「金属イオン」などを吸着
  • 濁り成分に含まれる栄養分によって、付着する細菌の増殖を活発にする
  • 濁り成分が細菌やウイルスを塩素から守ることで消毒できず、濁りのせいで検出もできない

濁り成分は、病原性細菌の”隠れ蓑”になり、菌を「成育」「保護」そして「隠ぺい」してしまいます。
つまり、濁った水は、大腸菌などの”病原性細菌”が凝縮されています。
その上、微量でも毒性のある金属類までも含んでいる可能性が高く、かなり危険。

しかも、濁り成分は異臭や不快な味の成分も拾うし、濁り成分自体も土臭や植物性臭などの不快な臭味を持つため、濁れば濁るほど、味やニオイも悪くなります。

とは言え、この濁度に関しても、塩素消毒の前段階で解消できれば、問題なさそうです。
水質基準項目によって「検出しないこと(=0)」とされている大腸菌も、隠れるものがなければ塩素消毒であっさり全滅するでしょう。

水道水の外観は「現状」どうなってる?

水道事業02

水道水は、その「色度」「濁度」が高くなればなるほど、外観・見た目が無色透明から離れていき、味やニオイに影響し、有害物質や病原性微生物を含んでしまうことがわかりました。

では、実際のところ、水道水の色度&濁度はどうなってるんでしょうか?
見ていきましょう。

水道水質データベース「水質分布表」を見てみると、日本の水源の水(原水)と色度&濁度の関係は、以下のようになっています。

  • 元々「色度」と「濁度」が水質基準値を超えている水源は、少なくはない
  • 日本の水源の大半は、色度も濁度も最初から基準値以下に収まってる
  • 濁度の”管理目標”の方を達成している水源は、かなり多い

対して、浄水場でキレイになった後の給水栓水は、以下のようになっています。

  • すべての給水栓水で、色度も濁度も基準値以内になっている
  • すべての給水栓水で、濁度が管理目標値以下に抑えられている

「水質分布表2019原水(平均)」水道水質データベース
http://www.jwwa.or.jp/mizu/pdf/2019-b-01gen-02avg.pdf

「水質分布表2019浄水-給水栓水等(平均)」水道水質データベース
http://www.jwwa.or.jp/mizu/pdf/2019-b-04Jyo-02avg.pdf

上記からわかることは、水源として使っている原水の多くは元々色度も濁度も低めであり、水質基準値を超える原水でも浄水場で確実に改善され、さらに厳しい濁度の目標値まで達成されている、ということ。

実際、色度の原因物質も、濁度の原因物質も、日本全国の浄水場に設置されている通常の浄水処理法で除去できるようです。

色度の原因物質である有機物(フミン質など)は、塩素消毒によって「トリハロメタン」が生成されます。
また、濁り成分は、水質基準で”一切検出しないこと”と決められている「大腸菌」を育て、守り、隠します。

トリハロメタンも大腸菌も、水道水の安全性を気にする利用者からの注目度は特に高く、これらに関連する「色度」「濁度」という項目は、提供側も注意深く管理していることでしょう。
その証拠に、色度は2種類、濁度は6種類もの検査をして、ちゃんと基準値以下になっているかどうかを確かめないといけないことになっています。

家庭の蛇口から出てくる水道水の色度・濁度については、安心できそうです。
それよりも、私たちが気にしないといけないことは、他にあります。

ちなみに、上記の水質分布表では”場所”を特定できません。
あなたの地域の水道水質の、”最新”の検査結果を知りたい場合は、管轄の水道局などのホームページで確認する必要があります。
その方法は、以下の記事でご覧になれます。

水道水の「色」「濁り」よりも気にしないといけないこととは?

グラスコップの水道水持つ人の手ハンド

この記事では、水道水の水質基準に設定されている「色度&濁度」の原因や、飲用・使用のリスク、現状などについてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
まとめると、以下です。

記事の要約は…
  • 水道水の「色度」が高いと、水に不快な味や異臭をつけ、さらに”トリハロメタン”を多く生成する
  • 水道水の「濁度」が高いと、濁り成分によって”有害金属”を吸着し、さらに”大腸菌”を塩素から守る
  • 色度も濁度も、高ければ一目でわかる上、現状は浄水場でしっかり無色透明に改善されている

上でお伝えした通り、色度も濁度も、注目度の高い他の水質基準項目に関与してくるため、注意深く管理されています。
また、もし色度や濁度の基準値を超える水道水が出てきたとしても、見れば異常がわかりますし、味やニオイもおかしいので味覚や嗅覚でも気付けるでしょう。

それよりも、私たちが気にしないといけないのは“目に見えない”含有物の方です。
色が無色の水でも、毒性の高いカドミウムやシアン、六価クロムなどが含まれている可能性はあります。
また、濁りのない透き通った水でも、集団中毒の元になる大腸菌が混入していることだってあり得ます。

水道水を体内へ取り込む際は「自分の身は自分で守る」という意識を持ちつつ、普段から何かしらの対策を打っておくことをオススメします。

  • 家庭の水道水には”何”が入っているのか、把握しておく
  • 近隣の「水道情報」に気を配る
  • 浄水器を使って自宅で有害物質を除去する

あなた自身や家族の健康を守るためにも、危険物や毒物、病原性細菌等をできるだけ体内に取り込まない工夫をしておきましょう。

それでは、今後も健やかな生活をお送りください。

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